全国地方議会サミット2026 近藤にこる登壇
〜 中学生AI起業家が描く『地域の社会課題解決』」 〜


2026年7月13日、京セラ株式会社みなとみらいリサーチセンター「INNOVATION SQUARE」にて開催された「全国地方議会サミット2026―議会基本条例20周年 いま、地域の未来を動かす議会へ―」に、株式会社EdFusion代表取締役の近藤にこるが登壇しました。
全国地方議会サミットは、全国の地方議員、議会事務局職員、自治体職員、研究者、市民などが集まり、議会改革や市民参加、地域課題の解決について学び、議論する全国規模のイベントです。
2026年は、議会基本条例の制定から20周年を迎える節目の年です。
本サミットでは、これまでの議会改革の成果と課題を振り返るとともに、AI活用、シティズンシップ教育、若者の政治参加、市民との対話などをテーマに、これからの地方議会が果たすべき役割について議論が行われました。
近藤は、1日目に実施された「AI活用と議会の未来」のプログラムにおいて、「中学生AI起業家が描く『地域の社会課題解決』」をテーマに講演しました。
現在は高校生ですが、13歳で起業し、教育とテクノロジーを活用した子どもたちの挑戦支援に取り組んできた経験をもとに、AIが地方自治や地域づくり、次世代教育にどのような変化をもたらすのかについて発表しました。
登壇の目的
今回の登壇では、AIを単なる業務効率化のための道具として捉えるのではなく、地域の中にある声、課題、アイデアを社会の変化につなげるための基盤として活用する重要性を伝えることを目的としました。
地方自治体や地方議会の現場では、人口減少、少子高齢化、地域交通、空き家、防災、教育格差、産業振興、担い手不足など、複数の課題が同時に進行しています。
これらの課題は、一つの部署や一つの制度だけで解決できるものではなく、行政、議会、企業、学校、地域住民などが、それぞれの立場を越えて協力する必要があります。
一方で、議員や自治体職員は、住民から寄せられる意見の整理、制度や先進事例の調査、資料作成、会議、議論、情報発信など、多くの業務を抱えています。
限られた人員と時間の中で、すべての課題に丁寧に対応することは容易ではありません。
そこでAIを活用し、情報の収集や整理、文章の作成、データの比較、アイデアの可視化などを効率化することで、人にしかできない対話や判断、現場の確認、信頼関係づくりに、より多くの時間を使えるようになります。
講演では、「AIによって人の仕事を減らすこと」だけを目的にするのではなく、「地域の人や未来に向き合うための時間を増やすこと」が、自治体や議会におけるAI活用の本質であると伝えました。

講演内容
講演では、最初に、AIを地域の中で活用する際には、大規模なシステムや高額な設備を導入することから始めるのではなく、日常業務や地域活動の中にある、小さな困りごとから始めることが重要であると説明しました。
具体的には、住民から寄せられた意見をテーマ別に整理すること、難しい行政資料を子どもや高齢者にも伝わる言葉へ変換すること、自治体の統計データや他地域の事例を比較すること、災害時の案内文を年代や言語に合わせて作成することなどを、身近な活用例として紹介しました。
また、AIは議員や自治体職員だけが使用するものではなく、子どもや若者が地域づくりへ参加するための道具にもなることを伝えました。
近藤はこれまで、子どもたちがAIを使ってゲーム、映像、企画書、3DCG、メタバース空間などを制作する教育活動を行ってきました。
専門的なプログラミング技術がなくても、自分の言葉でAIへ指示を出し、何度も試行錯誤することで、子どもたちは頭の中にあるアイデアを形にすることができます。
これまでであれば、知識や技術、年齢を理由に実現が難しかったアイデアにも、AIを活用することで挑戦しやすくなっています。
講演では、AIを活用することで、子どもが「教えられる側」や「支援される側」だけではなく、地域の未来を考え、提案し、実際につくる側へ変わる可能性について説明しました。
例えば、地域の観光資源を紹介するゲームの制作、防災情報を分かりやすく伝える仕組みの提案、高齢者が生活しやすいまちの3DCGによる可視化、地域企業の仕事を伝えるデジタルコンテンツの制作など、子どもたちのアイデアは、さまざまな地域課題と結びつけることができます。

子どもと地域をつなぐ仕組み
今回の講演では、子どもたちにAIの使い方を教えるだけでは不十分であることも強調しました。
単発のAI体験会では、子どもが新しい技術に触れる機会を提供することはできますが、その体験が地域課題の解決や継続的な挑戦につながるとは限りません。
必要なのは、「地域を知る」「課題を見つける」「AIを使ってアイデアを形にする」「地域の大人へ提案する」「実証する」「改善する」という一連のプロセスです。
このプロセスを通じて、子どもたちはAIの操作方法だけではなく、課題を発見する力、情報を調べる力、相手へ伝える力、チームで協力する力、失敗から改善する力を身につけることができます。
また、子どもが提案したアイデアを、議員や自治体職員、地域企業が受け止め、実証や事業化につなげることができれば、子どもは自分の考えによって地域が動いたという経験を得ることができます。
子どもの意見を聞くだけで終わらせるのではなく、その意見がどのように検討され、何が実現し、何が難しかったのかまで伝えることが重要です。
自分の声が地域の中で扱われた経験は、「自分も社会の一員である」「地域は自分たちでも変えることができる」という実感につながります。
この実感は、将来の政治参加や投票行動だけでなく、地域への愛着、社会課題への関心、他者と協力する姿勢を育てることにもつながると考えています。

地方議会に期待される役割
地方議会は、条例や予算を審議する場であると同時に、地域に暮らすさまざまな人の声を集め、地域の未来について議論する場でもあります。
AI時代の地方議会には、議員だけが答えを出すのではなく、住民、企業、専門家、若者、子どもなど、地域に関わる人々の知恵やアイデアを集め、実現につなげる役割が、これまで以上に求められると考えています。
地域には、現場の課題を知る住民、専門的な技術を持つ企業や研究者、新しい感覚を持つ若者、固定観念にとらわれない子どもたちがいます。
AIを活用することで、住民から寄せられた多くの意見を整理したり、世代ごとの考え方を比較したり、政策の論点を分かりやすく可視化したりすることができます。
一方で、AIが示した回答や情報を、そのまま正解として使用することには注意が必要です。
地域ごとの歴史や文化、住民の思い、制度上の制約などを踏まえ、最終的には人が責任を持って判断しなければなりません。
AIの活用が進むほど、情報の正確性、個人情報の保護、著作権、デジタル格差、意思決定の責任などについて、地域の中で共通のルールを持つことが重要になります。
そのため、AIを導入するかどうかだけを議論するのではなく、「何のために使用するのか」「誰の可能性を広げるのか」「どのような責任のもとで使用するのか」を、地域全体で考える必要があります。
当日の様子と参加者との交流
当日は、全国から集まった多くの地方議員、議会事務局職員、自治体職員などを前に講演を行いました。
会場には、地域の未来をより良くしたい、住民との対話を増やしたい、AIを議会や自治体の活動に生かしたい、次世代の声を政策へ取り入れたいという思いを持つ方々が集まっていました。
講演後の交流では、それぞれの地域が抱えている課題や、議会におけるAI活用の可能性、若者や子どもとの連携方法などについて意見を交換しました。
地域によって人口規模や産業、文化、抱えている課題は異なりますが、「地域のために行動したい」「新しい方法を取り入れたい」という共通した思いがあることを感じました。
政治や議会は、子どもや若者にとって、遠い存在として捉えられることがあります。
しかし、今回、実際に全国の議員の方々と対話を行う中で、地方議会は地域の暮らしや未来に直結する身近な存在であることを改めて認識しました。
同時に、議会や自治体が若者の参加を待つだけではなく、子どもや若者の側からも、自分たちの考えや活動を積極的に伝えていく必要があると感じました。
大人が若者の声を受け止める場をつくり、若者も地域の課題に関心を持ち、互いに学び合う関係を築くことが、世代を越えた地域づくりにつながります。
今後の展開
今後は、全国の自治体、議会、企業、学校、教育機関などと連携し、子どもたちが地域課題に取り組むプロジェクトを実施していきます。
具体的には、子どもたちが地域の課題を調査し、AIを活用してアイデアを形にし、議員や自治体職員、地域企業へ提案するワークショップや、提案したアイデアを実際の地域で検証する実証プロジェクトなどを想定しています。
また、議員や自治体職員向けのAI活用研修、子どもや若者と地域の大人が意見を交換する対話の場、地域の魅力を発信するゲームや映像の制作など、地域ごとの課題や目的に合わせた取り組みも進めていきます。
地方創生に必要なのは、外部から完成された答えを持ち込むことだけではありません。
その地域に暮らす人が、自分たちの地域について考え、自分たちで行動できる仕組みをつくることが重要です。
特に、これから長く地域の未来を生きる子どもたちが、地域づくりへ参加できる環境を整えることには、大きな意味があります。
子どもたちは支援されるだけの存在ではなく、新しい視点や発想を地域にもたらす共創者です。
地方議会や自治体には、子どもたちのアイデアを制度や地域のネットワークとつなぎ、実現へ導く役割があります。
AIは、子どもの発想と地域の仕組みをつなぐ共通言語として活用できると考えています




