泉佐野市議員 研修に講師として登壇「AIが進化する中で、まちはどう教育と向き合うべきか」

このたび、泉佐野市の議員研修に講師としてお招きいただき、市長をはじめとする議員の皆さまに向けて、AIが進化する中で、私たちはどのように向き合うべきかについてお話しさせていただきました。
◼︎ 開催背景
今回の研修は、約1時間半にわたって実施しました。私自身の挑戦の背景や現在の活動、アントレプレナーシップの考え方、AIの可能性、そして実際にAIを使ってみるワークショップまで、講演と体験を組み合わせた内容です。
AIは、すでに一部の専門家だけが使う特別な技術ではありません。市民の暮らしや地域の情報発信、行政サービス、教育、まちづくりなど、これからの社会のさまざまな場面に関わっていく存在です。だからこそ、まちの最前線に立つ方々がまず学び、実際に触れてみることが大切だと考えています。
◼︎ 概要
| 研修名 | 泉佐野市 議員研修 |
| テーマ | AIが進化する中で、まちはどう教育と向き合うべきか |
| 講師 | 株式会社EdFusion 代表取締役 / 近藤にこる |
| 時間 | 約1時間30分 |
| 対象 | 市長をはじめとする議員の皆さま |
はじめに、私自身がどのようなきっかけで挑戦を始めたのか、そして現在どのような活動をしているのかについてお話ししました。
私の活動の原点は、中学1年生の総合学習でした。自分の考えていることや、社会に対して感じていることを発表した経験をきっかけに、「自分でも何かを始められるのではないか」と考えるようになりました。その後、学校の中で起業部を立ち上げ、現在は教育とテクノロジーを掛け合わせながら、子どもたちの「やってみたい」を実際の挑戦につなげる活動を行っています。
これまで、子どもたちや親子を対象としたAIワークショップ、学校や自治体、企業での講演、地域の課題をテーマにした学びの場づくりなどに取り組んできました。
私が大切にしているのは、最初から大きな夢や明確な目標を持っていなくても構わないということです。「面白そう」「やってみたい」「これを変えたい」という小さな気持ちが、次の一歩のきっかけになります。その一歩を実際に踏み出し、誰かと出会い、試行錯誤する中で、少しずつ可能性が広がっていきます。
これは、子どもたちだけに必要な考え方ではありません。地域づくりや行政の仕事においても、課題を見つけ、問いを立て、周囲と協力しながら新しい方法を試していく姿勢は、これからますます重要になると感じています。


AIとの向き合い方
続いて、AIにはどのような可能性があるのか、そしてなぜ今、AIを学ぶ必要があるのかについてお話ししました。
生成AIを活用すれば、文章を作成したり、画像や音楽を生み出したり、アイデアを整理したり、ゲームやウェブサイトをつくったりすることができます。これまで専門的な知識や技術、長い時間が必要だったことにも、より短時間で挑戦できるようになりました。
自治体や地域の現場においても、AIにはさまざまな可能性があります。市民向けの情報発信、問い合わせ対応、地域の魅力の整理、会議や議論の整理、子どもたちへの学びの提供など、使い方を考えることで、日々の仕事やまちづくりを支える道具になり得ます。
一方で、AIは使えばすべてが解決する魔法の道具ではありません。生成された情報が正しいかを確認すること、個人情報や機密情報を安易に入力しないこと、著作権や責任の所在を意識することなど、人が判断しなければならないこともあります。
大切なのは、AIに答えを任せることではありません。まず自分たちが課題や目的を考え、そのうえでAIを活用し、出てきた内容を確認しながら改善していくことです。AIを使う人になるだけではなく、AIを使って何を実現したいのかを考える人になることが重要です。
AIを活用するとき、最初から「正解を出して」とお願いするだけでは、AIが考えた答えを受け取るだけになってしまいます。
そこで今回の研修では、「自分たちは何を実現したいのか」「誰に使ってもらいたいのか」「どんな情報を届けたいのか」といった問いを、まず人間が考えることの大切さをお伝えしました。
AIは、自分の代わりに考えてくれる存在ではなく、自分の考えを広げてくれる存在です。自分の中にあるアイデアをAIに伝え、返ってきた内容を見ながら、「もっとこうしたい」「ここは違う」「別の方法もあるのではないか」と対話を重ねていくことで、考えが深まり、形になっていきます。
この関係性を理解することが、AIを活用するうえでの大きなポイントになります。

実践AIワークショップ
AIは、話を聞いているだけでは、なかなか具体的なイメージを持つことができません。そこで、研修の後半では、議員の皆さまがそれぞれお持ちのタブレットやパソコンを使い、実際にAIを操作する時間を設けました。
今回取り組んだのは、泉佐野市に関わるAIチャットボットの作成です。どのような人に使ってもらうのか、どんな情報を案内するのか、どのような質問に答えられるようにするのかを考えながら、AIに役割や目的を伝えていきました。
実際に入力してみると、AIはすぐに回答を返してくれます。しかし、その回答を見て終わりではありません。「もっと市民に分かりやすい表現にするにはどうすればよいか」「必要な情報を正しく案内するためには何を追加すればよいか」と考え、指示を修正しながら完成度を高めていきます。
この体験を通して、AI活用では、単に便利な機能を使うだけではなく、目的を明確にし、情報を整理し、対話を重ねながら改善することが大切だと感じていただけたのではないかと思います。
◼︎ 研修後の変化
研修後には、「AIは話を聞くだけでは分からない。実際にやってみる機会になってよかった」という趣旨のお声もいただきました。まさに今回の研修で大切にしたかったのは、知識として知るだけではなく、自分の端末で実際に触れ、AIがどのように動くのかを体験していただくことでした。
アントレプレナーシップという言葉は、会社を立ち上げる起業家だけに必要なものだと思われることがあります。しかし、私はアントレプレナーシップとは、誰もが持つことのできる「社会をよりよくするための姿勢」だと考えています。
身近な課題に気づき、自分なりの問いを立て、誰かと協力しながら、小さく試してみる。そして、うまくいかなければ改善し、また次の方法を考える。この一連の行動は、起業だけではなく、教育、地域活動、行政、家庭など、あらゆる場面で生かすことができます。
AIは、その挑戦を早く、広く、具体的にするための力を持っています。これまでなら「アイデアはあるけれど、形にする技術がない」と諦めていた人も、AIと対話しながら試作品をつくることができます。だからこそ、これからの時代には、AIの知識だけでなく、「何を問い、何を実現したいのか」という人間側の意志がより重要になります。
地域の未来を考えるとき、AIを導入すること自体が目的になってはいけません。大切なのは、AIを活用することで、市民の声をより受け取りやすくすること、必要な情報を必要な人に届けること、子どもたちや若者が地域の未来を自分ごととして考えられる機会をつくることです。
そのためには、まず地域の意思決定や課題解決に関わる方々が、AIを遠いものとして捉えるのではなく、自分自身で触れてみることが必要です。市長をはじめとする議員の皆さまが率先して学び、体験することは、職員の皆さまや市民の皆さまにとっても大きなメッセージになります。

◼︎ 最後に
AIを知らないまま導入するのではなく、実際に使ってみたうえで、泉佐野市にとって何が必要なのか、どのように活用すれば市民のためになるのかを考える。その積み重ねが、これからのまちづくりにつながっていくのだと思います。
私がAIやテクノロジーを活用した活動を続けている理由の一つは、子どもたちに「自分のアイデアは形にできる」と感じてもらいたいからです。
未来は、誰かが用意してくれるものではありません。今の子どもたちが、これからの地域や社会をつくっていく当事者です。だからこそ、子どもの頃から自分の考えを言葉にし、AIやテクノロジーを使って形にし、誰かに届け、反応を受け取る経験が大切になります。
その経験は、すぐに大きな成果につながらなくても構いません。「面白かった」「またやってみたい」「次はこうしたい」という気持ちが生まれれば、それが次の挑戦の種になります。
子どもたちに原体験を届けるためには、学校や家庭だけでなく、まち全体で学びの機会をつくっていくことが必要です。大人と子どもが一緒にAIに触れ、地域の未来について考えることができれば、まちは少しずつ変わっていきます。
今回、泉佐野市の市長をはじめとする議員の皆さまに向けて、AIとアントレプレナーシップについてお話しし、実際にAIを使った体験までご一緒できたことを大変うれしく思います。
AIが進化する時代に必要なのは、AIにすべてを任せることでも、反対に難しいものとして遠ざけることでもありません。人が問いを持ち、AIをパートナーとして活用しながら、地域にとってよりよい方法を考え、試していくことです。
今回の研修が、泉佐野市のこれからを考える小さなきっかけとなり、今後の行政や地域の取り組みにつながっていけば幸いです。
これからもEdFusionでは、子どもたちにさまざまな原体験を届けるため、教育とテクノロジーを掛け合わせた活動を続けていきます。学校、家庭、企業、自治体など、さまざまな立場の皆さまと一緒に、まちという大きな単位で、少しずつ未来を変えていきます。
小さな挑戦が、世界を変える。
その最初の一歩を、これからも一人ひとりとともにつくっていきます。



